自宅の庭やマンションのベランダに人工芝を敷くと、虫が湧くのではと心配される方がいらっしゃいます。中には、人工芝を敷いたら虫が湧いた、とお嘆きの向きもあろうかと思います。
しかし、人工芝は虫が沸くのをゼロにはできないにしろ、基本的に虫を寄せ付けることはありません。
一体どういうことなのか、これから詳しくご説明します。
庭などに虫が湧く原因とは?
庭などに虫が湧くのは、そこが彼らにとって住み心地の良い環境を備えてしまっているからです。虫たちが住み心地が良いのは、「エサがある」「湿気がある」「適度な日光が当たる」場所です。
庭などにある花木や雑草は、虫たちの絶好のエサになります。それと同時に、彼らが好きな湿気を保ちつつ、程よい日光の恩恵も受けられます。すなわち、花や木や雑草などが生えている庭は、虫たちにとって快適この上ない環境が整っているのです。
では、人工芝を敷いた庭はどうでしょうか。
人工芝の素材は、主に、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック系のものです。これらは、虫たちのエサにはなりません。
また、商品によって機能性に違いはありますが、人工芝は水はけが良くなるように造られていますから、湿気も溜め込むことは少ないです。
更に、人工芝を敷くことで地面が遮光され、そこに住む虫たちには光が届かなくなります。
つまり、人工芝は虫たちが好む、「エサ・湿気・日光」の全てを奪い取ることが可能です。住みづらくなれば、虫の量は自ずと減ります。人工芝を敷いても、虫を沸かせることはあり得ません。
人工芝でも虫が湧いてしまうポイント5つ
ところが、人工芝を敷いたのに虫が湧いたというケースは、残念ながら少なからずあります。
「人工芝にしたのに虫が湧いてしまった」「人工芝を検討中だが、虫が湧きそうで不安がある」などの方は、以下のポイントを是非チェックしてみてください。
下地の不備
地面に雑草や落ち葉などを残したまま人工芝を敷くと、これらが腐葉土となり虫のエサになります。人工芝を敷く前に、雑草や落ち葉などは徹底的に取り除いておかなければなりません。また、地面の水はけに問題がないことも要確認です。でこぼこがあったり、雨で水たまりができるような状態で人工芝を敷くと、湿気がこもり虫にとって住みやすい環境になってしまいます。
下地材
人工芝を敷く地面に下地材がまかれていないと、虫が湧きやすくなります。
プロの人工芝施工業者では、コンクリート材質でできた人工芝専用の下地材を使用します。しかし、この下地材はホームセンターなどでは市販されていません。DIYの場合は、「川砂」や「山砂」を混ぜて代用できます。
防草シート
防草シートは日光を遮ることで、雑草が生えるのを防ぐ効果があります。防草シートがなかったり、きちんと敷かれていないと、虫のエサとなる雑草が生えてしまいます。また、日光が地面に当たって、虫を呼び寄せることとなります。
人工芝の隙間
人工芝にわずかな隙間があっても、虫が湧く原因になります。隙間ができ易いのは、人工芝が塀や家の壁と接する部分や、人工芝同士のつなぎ目などです。人工芝同士のつなぎ目は、一見すると隙間がなくても、しっかりと接着されていないといけません。
人工芝の掃除
人工芝の魅力のひとつに、手入れが楽な点があげられます。とはいえ、定期的な掃除だけは欠かせません。人工芝の上に落ち葉や食べこぼしなどのゴミがあると、虫のエサになります。ジュースなどをこぼしたままでも、虫が寄ってくることがあります。虫のエサになりそうなものを取り除き、人工芝を清潔に保つよう心がけましょう。
人工芝以外に原因がある可能性も
人工芝のせいで虫が湧いたと思っていたのに、実は、別の原因があるケースがいくつか考えられます。
最もありがちなのが、人工芝を敷いた庭の上や近くに、鉢植えやプランターなどを置いている、です。
鉢植えやプランターで植物を育てるためには、水やりをします。すると、虫が好む湿気もありますし、植物自体がエサになります。これらに防虫対策をしていないと、虫が住み着いている可能性は大いにあります。その虫たちが人工芝の上に出てきたのを、「人工芝に虫が湧いた」と勘違いしてしまうのです。
一方、マンションのベランダなどはコンクリート製なので、そもそも虫が生息しづらい場所です。そこに人工芝を敷いても虫が増えることは、まずありません。
ただし、人工芝の敷き方が適切でないと雨水などが溜まったり、人工芝の素材に吸水性の高いナイロンが含まれていたりしていると、湿度が上がり虫を呼ぶことがあります。
しかし、むしろ注意したいのは、人工芝を敷いたことで、ベランダに出る機会が増えたケースです。ベランダでティータイムを楽しんだり、休日に家族でバーベキューをしたりすることが多くなったりして、食べこぼしや飲みこぼしが虫にエサを与えてしまっている可能性があります。
人工芝の施工後に虫が湧いた場合の対処法は?
もし、人工芝を敷いて虫が湧いているとすると、先に述べた5つのチェックポイントの、いずれかに該当していると考えられます。
ですから、下地を整備し直す、下地材がなければ下地材をまく、防草シートをきちんと敷く、隙間なく人工芝を敷き直す、こまめに掃除する、と言った改善策を施すしか虫を減らす方法はないでしょう。
それが面倒だとすると、通常の虫対策と同様に、殺虫剤や虫のエサとなる雑草を除去するための除草剤、殺菌抗菌剤を使用しましょう。
人工芝の種類によっては、これらの薬剤により変色するなど劣化するおそれがありますから、注意が必要です。
まとめ
人工芝を敷いたからといって、虫を100%除去することはできませんが、虫が湧くのを増やすことは決してありません。
プラスチック系の素材である人工芝は、虫たちのエサにはなりません。水はけがよくできているので、虫が好む湿気を絶つことができます。 遮光性もある程度あるので、日光が好きな虫たちには嫌われます。
しかし、下地づくりがいい加減だったり、人工芝がきちんと適切な方法で敷かれていなかったりすると、虫は湧いてしまいます。
この点に気をつけさえすれば、人工芝は、手入れが簡単で、嫌な虫を減らすことが期待できる魅力的な製品です。
DIYにせよ専門業者に頼むにせよ、人工芝の施工を検討してはみませんか?